2019.8.7 未分類
損害賠償請求書の事例(脊柱の変形)
XX保険㈱ 御中
弁護士法人はるか
1.傷害の損害
(1)治療費 :1,920,028円
治療期間合計:415日(H29.2.21~H30.4.10)
入院27日,通院388日(実通院189日)
(2)入院雑費:40,500円
1,500円×27=40,500円
(3)通院交通費:42,270円
(4)休業損害:1,953,115円 過去3カ月の給与所得1,632,035円
両手のシビレが悪化したため,平成29年7月17日から有給を取得した。同年8月28日からは, 頸椎手術のため,A病院へ入院した。同月29日,手術を受け,その後,同年10月22日まで,治療のため,仕事を休まざるを得なかった。その間有給を73日取得しているが,所定の休日以外全て有給取得しているため,休業日額は稼働日数をもとに算出するのが妥当である。
1,632,035円÷61日=26,755円 26,755円×73日=1,953,115円
(5)傷害慰謝料:1,870,000円
赤い本の別表Ⅰの基準額を適用する。
入院27日
通院388日(実189日)
以上より,1,870,000円とする。
2.後遺障害の損害
(1)後遺障害遺失利益:11,127,017円
ア 後遺障害の内容と等級
頸椎椎間板ヘルニアに対して,頸椎C4-C5-C6-C7の椎弓形成術施行後頸椎の可動域が参考うえ可動域の1/2以下に制限され,「脊柱に変形を残すもの」として,また,「上下肢のしびれ,痛み」を含み第11級7号が認定された。
イ 逸失利益
本件では,被害者の収入は,事故前年平成28年分の給与所得の源泉徴収票では8,667,872円であるが,事故時の平成29年分は8,081,834円と事故後現実に減収が発生している。原因は,脊柱に変形を残し,上下肢のしびれ,痛みに因る労働能力の減少に因るものである。 具体的には,両上下肢のシビレ,痛みのため力仕事,パソコン操作,屋外での立ち仕事においては休息を多く取らないと出来ないなどの業務に支障が発生し労働能力の明らかな減少がある。 そのため,残業がほとんど出来なくなったために現実に収入が減少したものである。 労働能力の減少の具体的内容は,被害者甲作成の「後遺障害についての意見」を参照されたい。 将来においても労働能力の減少により収入の減少は続くと判断される。
被害者は,現場作業の肉体労働を続けなければならないことから,脊柱の変形,上下肢のシビレ,痛みの症状は,仕事上の身体への負担と加齢により,今後悪化すると予測される。現場作業員としての業務能力の減少の拡大は必発である。
・後遺障害等級 第11級7号
・症状固定時年令 59才
・労働能力喪失期間 11年 ライプニッツ係数8.3064
・労働能力喪失率 11級は20%
・基礎収入 ①65歳定年までの6年間は,事故前年の平成28年分給与所得の源泉徴収票の年収8,667,872円とする。
②65歳定年以後の5年間は,賃金センサス平成21年第1巻第1表男学歴計65歳~69歳の年収3,602,800円を基礎収入とする。
後遺障害遺失利益計算
①6年間(定年まで) 8,667,872円×0.20×5.0757=8,799,104円
②5年間(定年以後) 3,602,800円×0.20×(8.3064-5.0757)=2,327,913円 ①+②=11,127,017円
(2)後遺障害慰謝料:4,200,000円
赤い本より 11級の基準額 4,200,000円
3.損害総額:21,152,930円
4.既払額:3,239,388円
5.請求損害賠償額:17,913,542円
以上