2022.10.26 その他
相続ー任意後見契約 3
Q | 任意後見契約を締結している場合でも法定後見開始の審判の申立てができるのでしょうか。 |
A | 任意後見と法定後見との関係の調整については、任意後見制度による保護を選択した本人の自己決定を尊重する観点から、原則として任意後見が優先することとされています。すなわち、任意後見契約が登記されている場合には、本人について法定後見の開始の申立てがされたときでも、家庭裁判所は、任意後見監督人の選任の前後を問わず、原則として法定後見の開始の審判をすることができず(申立てを却下することになります。)、本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り、後見開始の審判をすることができるとされています。(任意後見契約に関する法律10条1項) |
Q | 任意後見契約を締結している場合法定後見開始の審判の申立てができるとすればどのような場合でしょうか。 |
A | 例外である「本人の利益のため特に必要があると認めるとき」とは、任意後見による保護よりも法定後見による保護が相当であると認められる場合であり、例えば、次のような場合が考えられます。①本人が任意後見人に授権した代理権の範囲が狭すぎる上、本人が任意に授権することが困難な状況にあるため、他の法律行為について法定代理権の付与が必要な場合②本人が悪質な訪問販売等により、過去に被害を受けがだけでなく、将来にわたって被害を受けるおそれがあるときなど、本人について同意権・取消権による保護が必要な場合(任意後見契約は、任意代理の委任契約ですから、任意後見人に同意権や取消権を付与することはできません。)③特に移行型の任意後見契約において、本人の判断能力が低下し、受任者が任意後見監督人の選任の申立てをすべきであるにもかかわらず、これをしないまま放置しているような場合 |
Q | 日本に在住する外国人は任意後見契約を利用できるのでしょうか。 |
A | 任意後見契約の委任者が日本に在住する外国人である場合には、日本の公証人は、その嘱託に基づき、任意後見契約公正証書を作成することができます。 |
Q | 「任意後見制度」の活用法と注意点は何ですか? |
A | 現在は判断能力がある場合でも、将来認知症などになる場合のリスクに備えることができます。ただ、契約は公正証書 にする必要があります。 |