2022.11.4 その他
相続ー遺産相続
Q | 私には少しだけローンが残っているマンションがあります。このローンには保険がかけられていないため、私の死亡保険金でローンの残額分が補填されることがありません。このマンションを妻に相続させ、妻がローンの残債務を支払うこととし、子どもたちにはローンの負担をさせたくないのですが、どのようにしたらよいでしょうか。 |
A | マンションのローン等を特定の者のみが支払うとする遺言内容はローン債権者がこれを承諾しない限り、この内容を債権者に押しつけることはできません。そのため、あなたの奥様は自分のみがマンションのローンを引き継ぐことを認めてもらうようにローン債権者と交渉し、承諾してもらう必要があります。ローン債権者が承諾しない場合、ローン債権者は子どもたちに対してもローンの請求をしてくる可能性があります。 |
Q | 私の相続人は事故により車椅子の生活を余儀なくされた1人息子だけです。保険金は入ってきたものの息子の今後の生活が心配です。そこで、私の死後には所有しているマンションの管理を第三者にお願いし、その収益を息子の生活費にあててもらいたいのですが、どのようにしたらよいでしょうか。 |
A | 遺言で信託を設定するという手段があります。あなたが息子の生活安定のためにあなたのマンションの収益を息子の生活費に充ててもらう目的で、あなたのマンションの管理を委ねることは信託にあたることになります。この信託は契約によって設定できますし、遺言によっても設定できます。遺言によって信託を設定する場合には、これを受託するものに対して利害関係人が信託を引き受けるか否かを催告し、引き受けない場合には家庭裁判所が選任することになります。信託を契約で設定した場合には契約で定められた時点で効力が発生します。しかし、遺言により信託を設定する場合には遺言者の死亡時に信託の効力が発生するため、確実に信託の効力が発生するように、遺言は公正証書で作成される方がよいでしょう。遺言信託については自分の死後にしっかりと財産を管理してもらうわけですから、受託者には高度な財産管理能力を有する信託銀行等のみがなることができます。また、遺言信託によって実現できるのはあくまで財産管理であり、対象者の療養看護までなされるわけではありません。そこで、負担付遺贈(民法1002条)などの規定を盛り込むのもよいでしょう。 |