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相続Q&A 遺言5

Q 98歳の父が遺言を書くといっています。父は普通に生活をしているのですが、ときどき私の名前を言い間違えたりします。
このような高齢の父でも1人で遺言を書くことはできるのでしょうか。
A 満15歳以上ということ以外に制限はありません。(民法961条)ただし、民法963条は、「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない」としており、後に、その遺言が意思無能力により無効といわれないように、
対策を講じておくとよいでしょう。対策としては、公正証書遺言を残す、医師の診断を受ける等をあげられます。
Q 遺言を書こうと思うのですが、「公正証書」というものにしなければならないのでしょうか。あまり難しいことはしたくないのですが、
どうしたらよいでしょうか。
A 自筆証書遺言といって、公正証書にしなくてもできる遺言があります。自筆証書遺言は、①全文を自筆で書くこと
②作成した年月日を入れること③署名、押印をすることの3つを守って下さい。訂正する場合には厳格な方式が定められていて、
修正液を用いて削除したり{で挿入をすると変更は無効になります。これは偽造・変造を防止するためです。訂正のためには、
遺言者がその変更した場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更した場所に印を押すことが
必要となります。
Q 遺言という形をとれば、どのようなこともできるのでしょうか。例えば、遺言で契約の解除をすることや「子どもたちは
実家に戻り母親の面倒を看る」等を規定することはできるのでしょうか。
A 書いても遺言は無効になりませんが、遺言として法律上の効力が生じるのは、遺言事項に限られます。遺言事項とは、
①相続に関するもの(相続分の指定、指定の委託、推定相続人の廃除)②財産処分に関するもの(遺贈、生命保険金の受取人の変更)
③身分に関するもの(認知、未成年者の後見人の指定等)④遺言の執行に関するもの(遺言執行者の指定・指定の委託)です。
Q 一度書いた遺言の内容を変更できますか。書いた後で気が変わったり、状況が変わったりして、変更する必要が出てくることも
あると思うのですが、二度と変更ができないとすれば、なかなか書くことに踏み切れません。
A 遺言はいつでも全部または一部を自由に撤回(変更)することができます。遺言の撤回は民法上「遺言の方式に従って」
しなければならないとされています(民法1022条)。したがって、口頭で「前の遺言は撤回する」といっただけではダメです。
①前の遺言を撤回する内容の新たな遺言を作成することや、②前の遺言と抵触する内容の遺言を新たに作成することで
遺言の撤回が認められます。
Q 父の遺言の中に、土地を「太郎にやる」という内容があります。長男である私の名前は「太郎」ですが、父の愛犬もまた「太郎」です。このように遺言の形式上はどちらとも判断つかない場合、遺言はどうなるのでしょうか。
A このように遺言内容が一義的でない場合、その文言を解釈して判断することになります。遺言内容が確定できない場合
には遺言者の遺志を実現することは不可能ということになり、遺言は無効となります。しかし、遺言者がせっかく遺言
を残しているのですからできる限りその遺言者の遺志は実現させてあげるのが望ましく、解釈により内容を確定できる
のであれば遺言を有効とすべきです。そして、その解釈の際にはさまざまな付随事情(人間関係や生活環境等)から
遺言者の真意がどこにあるのかを常識や経験則を使って探求し、その真意に沿った内容で遺言ができるだけ有効となるよう
に解釈します。ただし、このことは文言上、遺言内容が明らかであるのに、付随事情から解釈をして遺言者の真意を探求する
という意味ではないので注意して下さい。このような場合に、愛犬の「太郎」は人ではないため、土地を相続することができないので、長男である「太郎」さんが相続するのが解釈上素直といえるでしょう。
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