Q | 「遺言執行者」とはどういうことをする人ですか? |
A | 遺言の内容を実現する役割を担う人です。「遺言執行者」がいると相続手続き上も便利ですが、執行者を置いたことで 紛争を引き起こすこともあります。例えば、遺言で遺産の多くを取得する相続人が遺言執行者になる場合です。遺言執行は 遺言書の内容を忠実に実現するだけなので、執行者は相続人や受遺者でもかまいませんが、遺産の多くを取得する人が 遺言執行者になると、他の相続人が不審に思い、遺言自体の信憑性までも疑うケースが少なくないと言います。 もめ事の原因になりそうなら、弁護士、司法書士ら利害関係のない第三者を選ぶとよいでしょう。 |
Q | 遺言執行者にはどのような人を選ぶのが適当でしょうか。 |
A | 遺言者が遺言で遺言執行者を指定する方法と、指定がない場合や指定された者が辞退したときなどで遺言執行者がいない場合に家庭裁判所が利害関係人の請求によって遺言執行者を選任する方法の2通りの方法を定めています。遺言執行者には未成年者、破産者以外は誰でもなることが出来ます。そのため、相続人の中から遺言執行者を選任することも出来ますが、他の相続人による反発が想定されるため、第三者的立場である弁護士、司法書士を選任するのが適当でしょう。 |
Q | 遺言執行者が指定されていない場合の遺言執行はどうするのでしょうか。 |
A | 相続人(共同相続人の場合はその共同行為)によって遺言を執行することになります。なお、遺言事項の中には遺言執行者によらなければ執行できないもの、相続人の排除及び排除の取消があり、このような場合で遺言執行者の指定がない場合には、家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらう必要があります。 |
Q | 預金の払戻しや不動産登記等に関する遺言執行者の権限はどのようなものですか。 |
A | 民法1012条1項は、「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」と定めており、そのために相当かつ適切と認める行為をすることができます。 |
Q | 遺言執行者がいる場合に相続人自身が遺産を処分することはできるのでしょうか。 |
A | 民法1013条は、「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。」と定めています。遺言執行者が選任されている場合の遺言執行者の有する権限は、相続人の処分・管理権限を認めない排他的なものといえます。 |