Q | 公証人による「口述の筆記」(口授)は、どのように行われているのでしょうか。 |
A | 近時は、パソコン等を使用して「筆記」を作成するのが一般的と思われます。 |
Q | 公証人による「読み聞かせ」は、どのように行われているのでしょうか。 |
A | 民法は、公証人が、遺言者の口述を筆記し、その筆記を遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させなければならないと定めています。これによると、「読み聞かせ」は、公証人自身がしなければならないようにも読めますが、公証人立ち会いのもとに通訳人等第三者に読み上げさせても差し支えないと解されています。場合によっては遺言者にご本人に読み上げていただくという公証人もおられるようです。 |
Q | 公証人による「閲覧」は、どのように行われているのでしょうか。 |
A | 「閲覧」は、平成11年の民法改正により、筆記の内容を確認していただく一般的な方法として従前の「読み聞かせ」に加えて明記されたものです。また、その民法改正により、遺言者又は証人が耳の聞こえない者である場合の特則ができて、遺言者や証人が耳の聞こえない方である場合には、筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えることにより民法969条3号の「読み聞かせ」に代えることができることになりましたので、現在では、耳の聞こえない方も遺言をしたり、証人になったりすることができるようになっています。 |
Q | 遺言書の署名は戸籍の文字通り書かなければならないのでしょうか。 |
A | 遺言公正証書にすべき署名は、戸籍上の氏名であることを要せず、本人の同一性が示されればよく、通称、雅号、ペンネーム、芸名、屋号などもそれによって同一性がしめされるならばよいと解されているようです(大判大正4年7月3日)。印鑑証明書や戸籍等の官公署作成の文書に記載された遺言者の氏名の記載が普段用いている字体と異なる場合(例えば、印鑑証明書上は「齋藤」とか「實」となっているが、普段は「斎藤」とか「実」を使っているような場合)には、普段使用している字体で署名していただいても結構ですと答えています。 |
Q | 遺言者が署名できない場合はどうすればよいのでしょうか。 |
A | 実務上は、民法に定める措置として署名不能の事由を付記した上(民法969条4号ただし書き)、明治時代の先例に従って、公証人が遺言者本人の氏名を代書し、その末尾に遺言者の印を押していただくようにしています。署名することができない場合とは、手が不自由な方、字を知らない方、目が見えない方なでが典型的な場合です。又、遺言者が署名することにより、体調悪化、病状悪化を来すおそれがあるような場合には、署名不能といってよいと思います。 |