2022.10.8 その他
相続Q&A 渉外遺言1
Q | 在日外国人が日本で遺言をする場合には、どこの国の法律が適用されるのでしょうか。 |
A | 以下の①ないし⑤のいずれかの国の法律で認められている方式によって遺言をすれば、日本では有効な遺言となります。①行為地法(遺言者が遺言をした場所のある国の法)②遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法③遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法④遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法⑤不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法 |
Q | 外国で作成された遺言書は、日本で有効でしょうか。 |
A | 外国に居住している日本人は、日本にある財産について、その居住する外国で日本法の定める方式によって遺言をすることができます。又、外国人が上記①ないし⑤の方式に則って作成している場合には、日本でも有効と認められることになります。 |
Q | 日本人が外国で所有する財産について遺言をする場合には、どうしたらよいのでしょうか。 |
A | 日本人が外国で所有する財産については、「法の適用に関する通則法」により、相続は、被相続人の本国法によるとされていますので、被相続人の本国の相続法である日本法によって処理されることになります。しかし、英米にある不動産については、その所在地の法律に従って手続されることになりますので、その外国の相続法を基準として行われるということになります。日本は、「遺言の方式に関する法律の抵触に関する条約」を批准しており、この条約に基づいて日本には「遺言の方式の準拠法に関する法律」が制定されていますので、この法律によれば、日本人が遺言をする場合に、同法に規定されているいずれかの国の法律で認められている方式によって遺言をすれば、有効な遺言となります。したがって、この法律によって、日本人が日本の法律によって作成した遺言書は英米でも有効とされることになりますので、その遺言書に翻訳文をつけて、その不動産所在地の登記所に行けば、本来は不動産の所有名義を変更できることになるはずです。その不動産所在地国の方式で遺言書を作成する場合には、わざわざその国にまで出かけなくとも、日本にいる外国法律事務弁護士に依頼して、領事館でのサイン認証の手続を利用することなどにより、その不動産所在地国で有効な遺言書を作成することができます。 |