みなさんはペットを飼いたいと考えたことはありませんか。
私は、一人暮らしをしていた頃、真剣にそのことを考えました。帰宅した時、愛らしいペットが出迎えてくれたら、どんなに癒されるだろう。考えた結果、世話も満足に出来ず、病院に連れて行く手間もかけてやれないのなら、飼うべきではないという結論に達しました。
先日、保健所において保護された末に殺処分になる動物の増加を受けて、動物愛護法が改正されました。この出来事の根底には、流行にのって動物を飼育し始めたのは良いが面倒を見切れず、捨てたり、野に放ってしまう、無責任な飼い主の存在があります。
今回の改正では、飼い主に、ペットの寿命まで適切に飼育する「終生飼養」の責任があると明記した上で、施行規則で、飼い主が、ペットの高齢化や病気を理由とした場合、新たな飼い主を探す努力をしていない場合、不妊・去勢などの繁殖制限に努めていないなどの場合、行政がペットの引き取り拒否をできることが定められました。
上記のような現状を鑑みれば、動物を飼う者に終生の飼養責任を再認識させることも必要です。行政がペットの引き取り拒否をするようになれば、捨て犬を誘発する恐れもありますが、遺棄についても罰金の上限が50万円から100万円へ引き上げられています。
本改正で、殺処分の減少につながると良いのですが、責任という努力義務の記載に留まり、飼い主に何らの義務付けもされていない点を思うと、劇的な状況の改善を願うことは難しそうです。
ペットに関する法律として、狂犬病予防法第四条に、まず、犬を取得した日から30日以内に、厚生労働省令の定めるところに従い、市町村へ登録を届け出ること、続く第五条に、登録した犬に年に一度の狂犬病予防接種を受けさせること、注射済票を接種した犬に付けさせることが明記されています。これらは全て、飼い主における義務付けがなされています。
しかし、狂犬病予防法第四条に定める登録および接種を怠っている飼い主がいても、通報されたり、何かのきっかけでその事実が判明しない限りは、その飼い主は何の責任も負わないのです。
動物を飼う飼い主の大半は、狂犬病予防法に従った登録や接種を行い、動物愛護法の精神を遵守していると思われます。
しかし、そうではない飼い主がいることも、残念ですが現実なのです。動物を家族の一員のように家庭に迎え入れるようになった今、命を預かる立場として、飼い主の責任とは何なのか、改めて考えなければなりません。今回の改正がそのきっかけになることを願うばかりです。